Nスクエアのこと

about

Nスクエアのアート植物

アート作品の建築には、アート樹形の植栽を。
Nスクエアでは”アート”を感じられる場所が沢山あります。隈研吾氏デザインの建物、アート図書、アートの展示と、五感を刺激する仕掛けが施されています。
使用する樹木もアートな樹形を取り入れるため、山採りといわれている、山で育った樹木ならはの樹形が楽しめる植物を採用しています。

【隠岐の島の樹木】

隠岐の島には、地球の長い歴史の偶然により、北海道から沖縄までの植物が混在していて自生しています。現在では、1,600種以上の植物を見る事ができます。
また、高山植物が海辺で自生しているため、世界でも非常に珍しい植生を持つ島です。

隠岐の島の植物は、アルカリ流紋岩の上に僅かにのった土で生きなければいけない。その為、薄い土壌で冬の寒さと夏の暑さに耐えねばならない。更には、海が荒れるたびに潮風にさらされるという植物とって厳しい環境で生き残っています。

このように、隠岐の島の立地の偶然と、厳しい環境が、希少な植物を育んでいます。

■ザイフリボク

財を振る、采(配)を振るとされ、縁起の良い木です。
桜の木の仲間であるため、落葉し春に花が咲きサクランボのような実をつけます。
花色は白。実は食べれます。

戦後の高度成長による大気汚染で殆ど絶滅してしまいましたが、排気ガスの基準が厳しくなり今は都市部でも植え付け可能です。
現在流通しているものはアメリカンジューンベリーといった輸入樹木ですが、ザイフリボクとして販売されています。

隠岐の島で採取されたザイフリボクは極めて貴重な日本の在来種です。

■シャシャンボ

Nスクエアには、3本のシャシャンボが植栽されています。

ツツジ科スノキ属の常緑小高木で、古事記にも出てくる神様に近い縁起の良い木です。
ブルーベリーの原種と言われ、春には小さな鈴蘭のような花が咲き秋にはブルーベリーのような実が成ります。
葉は赤や緑に変化する場合もあり、葉色を楽しむこともできます。

■隠岐の島のハルニレ

ハルニレの漢字表記は春楡。春に花が咲くことから、春という文字が使われています。
日本産ニレ科の落葉高木で、樹高は30メートル、直径は1メートルに達します。
北海道のような北方に多く生息しているため、北海道以南では庭木として植えると枯れてしまい、庭木利用が難しいと言われています。
しかし、隠岐の島のハルニレは元気に生息しているため、北海道以南でも庭木として楽しむことが出来ます。

■アオダモ

青梻(アオダモ)とはモクセイ科トネリコ属の落葉広葉樹。別名、コバノトネリコ、アオタゴともよばれています。
樹形の自然な雰囲気を活かして、庭木などの植栽に使われるほか、材の特性を活かしてバットやテニスラケットなどの材料になることでも知られています。
Nスクエアのアオダモは、隠岐の島の厳しい風を受けて縦に成長する事ができず、また、台風などの潮風が直撃する度に成長が止まる事から、横に広がる独特の樹形になってしまっています。
この大きさで、樹齢が100年を超えている可能性があります。

■コナラ

小楢(コナラ)はブナ目ブナ科コナラ属の落葉高木です。
別名で、ハハソ、ナラともよばれています。
近年 全国的にナラ枯れが発生しているため大量のナラが消失していっていますが、隠岐の島は海を隔てている為か、ナラ枯れの被害が及んでいません。
隠岐の島のコナラは本土のより乾燥に強く活着しやすく葉付きがよいといわれている事から、より強い遺伝子を有しているのかもしれません。

■ツリバナ

吊花(ツリバナ)は、ニシキギ科ニシキギ属の落葉低木です。
日本全国に自生し樹高は3〜6mへ成長します。
和名の由来は、長い花柄にぶら下がって花を咲かせることから名づけられました。
別名では、タンザワツリバナもよばれています。
5月頃には控え目に花が咲き、9月頃から鮮やかな紅色の実が実ります。また紅葉も美しく葉色を楽しむことが出来ます。

■ガマズミ

莢蒾(ガマズミ)は、山地や丘陵地の明るい林や草原に生えるガマズミ科ガマズミ属に属する落葉低木。春には美しい花が咲き秋に赤く熟した果実は食用になり、薬酒にもなります。

【コラム:山採りをする理由】

なぜ山採りなのか?

山と川と里と海は、それぞれの営みが影響しあって豊かな自然を育んでいました。
昔話のお爺さんは山へ芝刈に。お婆さんは川へ洗濯に行っていました。山で薪木を集める事で光が入り、風が通り、山の水と空気が循環していました。また、全ての家庭が川で洗濯をする事で水辺をならし、伏流水を動かし、海をも豊かにしてきたのです。

日本では、戦後から山に入る事が少なくなりました。また、近代化による影響で雨が降ると2時間で川の水位が上がるようになりました。昔に比べて山の保水力が著しく低下しているのがわかります。

山採りをすると、山に穴があきます。そのまま放置するのではなく、そこに、枝や炭などをいれて、少しでも水の動きを生み出しています。

素晴らしい樹木を愛でて頂けるとともに、山の環境が整っていく活動として、山採りの植物をお届けしています。

それでは このまま山に入らなかったらどうなるのでしょう?よくある杉林は間伐しないで伸びていきます。森の中は真っ暗で他の植物が生きる事ができずに杉だけの山になります。山の保水力が無くなり災害が起こりやすくなります。雑木林も同じく自然淘汰を繰り返しシイとかツバキの強い常緑樹が蔓延り これもまた同じような状態になります。

山が整うと、海も整う。この山川海の水の大循環を多くの人に知っていただき、自然に興味を持ち山に入っていただきたいと考えています。

記事一覧